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EVD「Granadine Infantryman 1490」

 しばらくBlogの更新が滞っているなぁ・・・という時は、大抵は日々模型制作に励んでいる時で御座います。
 特に意図はありませんが、結果として平成最後の作品として手に取ったのは、El Viejo Dragon社(スペイン)の古いキットである「CG2:Granadine Infantryman 1490」です。

 EVD社は、いつもユニークなテーマのフィギュアキットを製作していますが、地元スペインを題材としたキットが多いのも特徴です。
 勿論、このキットも1949年にスペイン帝国により滅亡したイベリア半島最後のムスリム王国・ナスル朝グラナダ王国の兵士が題材です。
EVD「Granadine Infantryman 1490」_a0193363_16065289.jpg
 昔、ミニチュアパークさんの特価品コーナーから掘り出して来て以来、作ろう作ろうと思いつつ頭の中でイメージを膨らませては居たのですが、押入にしまい込んでいたキットです。

 中を開けると、こんな感じ。
 ホワイトメタル製の本体と、レジン製のベース、そして簡単なマニュアルが付いています。
EVD「Granadine Infantryman 1490」_a0193363_16132656.jpg
EVD「Granadine Infantryman 1490」_a0193363_16151429.jpg
 一昔前のキットという事もあってモッサリとした雰囲気の造形ですが、組んでみるとなかなか格好いいではありませんか。
 組み立てる前だと、しっかりとした首に対して妙に"なで肩"過ぎる気がしたのですが、肩の防具の膨らみがあるので、これくらいのディフォルメで丁度良いのかも知れません。
EVD「Granadine Infantryman 1490」_a0193363_16243522.jpg
 マニュアルによると、軍装や色に関しては、トレド大聖堂やマドリードの王立兵器博物館にある資料を参考にしたそうですが、良く分かりません。
 EVDは大胆な題材の選択と同時に、考証も大胆だったりするからなぁ・・・。

 特徴的な形状のアダーガ(adarga)盾は、名称の語源もアラブ語で盾を意味する「al-daraqa」である様に、元々は北アフリカからもたらされた物ですがイベリア半島で広く使われた様です。
 着用しているブリガンディン(Brigandine)鎧や籠手は、この時代の欧州ではポピュラーな物だとは思いますが・・・完成見本の三原色の配色は、どこから来たの!?
 疑問だったのが、ヘルメット。良く用いられていたイタリア製のサレット(salet)兜をモチーフにしているにしても、不思議な形をモデライズしているなぁ・・・と首をひねっていたのですが、どうやらこれは王立兵器博物館に収蔵されているフェルナンド2世の兜を参考にした様です(これ)。イスラム風の造形から誤ってグラナダ王国と結びつけられ、有名なグラナダ陥落の絵(参照)では皮肉にも最後のグラナダ王ムハンマド11世の兜として描かれています。
 手に持った剣は軽騎兵用に開発されたグラナダ式に見えます・・・が、このタイプの剣は14世紀ぐらいに多く用いられた様で、実戦用としては少し古いかも知れません。
 
EVD「Granadine Infantryman 1490」_a0193363_17412608.jpg
 詳しくない私が言うのも僭越ではありますが、考証的には大味というかイメージ重視の所もあるのですが、その大胆さがまたEVDの味かな・・・と思わせるキットです。


 完成品



by redsoldiers | 2019-04-29 17:56 | キットレビュー | Comments(0)

歴史軍装研究と模型製作の狭間に


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