「エマニエル・チクルス」第四夜 『エマニュエル』
2016年 04月 07日
あのエマニエル夫人が帰ってきた!しかも全身整形で若返って!
・・・と、世界中の人びとを驚愕させた問題作にして、7年ぶりのシリーズ第四弾。
『エマニュエル』
(原題:Emmanuelle 4 1984年 フランス)
制作:アラン・シリツキー(Alain Siritzky)
監督:フランシス・ジャコベッティ(Francis Giacobetti)
脚本:フランシス・ルロワ(Francis Leroi )
イリ・ルタン(Iris Letans )
撮影:ジャン・フランシス・ゴンドレ(Jean-Francis Gondre)
音楽:ミシェル・マーニュ(Michel Magne )
エマニュエル:ミア・ニグレン(Mia Nygren)
シルヴィア:シルヴィア・クリステル(Sylvia Kristel)
逃れようにも何処までも追いかける元彼マルクの情熱的な愛情におびえるシルヴィア。ビバリーヒルズのパーティで、昔の恋人マルクに出会ったシルヴィアは、彼の前から完全に姿を消す事を決意し、高名なブラジルの整形外科医の元に赴く。全身整形手術で若返ったシルヴィアは、新たなエマニュエルとして生まれ変わる。
あらすじを読めば分かる様に、エマニエルが整形手術で若返って新しいエマニュエルに成った・・・のでは無い。シルヴィアがエマニュエルに生まれ変わるというのが正しい。
シルヴィア・クリステル演じるシルヴィアがエマニュエルに・・・と書いているこちらも何だか良く分からなくなって来る様に、一寸したメタ構造になっているのが乙だ。
あらすじだけ読むと、まるでストーカーから逃れるサスペンスの様だが、全然違う。マルクの情熱的な愛に束縛されてしまうのが怖いの・・・だって私は自由なヤリ〇ンなのよ!あるがままに自由に生きるの!だから彼から逃げるのよ!・・・と言いながら、暇さえ在れば「マルク・・・マルク・・・貴方に会いたい。」とか呟いている、一寸困った女性である。
困った女性の逃避行であっても、観客としては、美しい裸と美しい景色を見られれば元は取った・・・というのがセックスプロイテーション映画であるわけだが、その点では、非常によろしいのでは無いでしょうか?
ファンビデオの様なオープニング映像で使われた写真以外では、今回、シルヴィア・クリステルは裸にはならない。老けたといっても、まだ32歳なのに、そこまで隠す必要は無いんじゃ無いかなぁ・・・とは思うのだが、若々しいミア・ニグレンの裸体と比べられるのは辛いのだろうか。
2代目エマニュエルを襲名したミア・ニグレンはスウェーデン出身のモデルで、垂れ目が可愛い当時24歳。グラマラスというよりはスレンダーで、抜群のプロポーションと透明感あふれるルックスは、シルヴィア・クリステルの跡目を継ぐにはピッタリかも知れない。
なかなかチャーミングな女性だったが、残念ながら、この後一本の映画(『ミア・ニグレン/魔性のエマニュエル』(Plaza Real 1988年 西独)に出演したきりで、銀幕から姿を消してしまった。
恐らく、この映画で最も著名な俳優は、マルクを演じるパトリック・ボーショー(Patrick Bauchau)だろうか。
現在でもアメリカのTVドラマの脇役などを務めるベテランで、どんな映画に出ていたのか今回調べた所、ダリオ・アルジェント(Dario Argento)の『フェノミナ』(Phenomena 1984年 イタリア)に出てくる警部役や、デビット・ハミルトン(David Hamilton)の『妖精たちのプレリュード(DVDタイトル:青い性/処女喪失)』(Premiers désirs 1983年 フランス)でヒロインがあこがれる中年夫婦を演じていた役者さんだと分かって、一寸驚いた。へぇ。
それとエマニュエルが滞在する屋敷に暮らしている女の子役で、当時人気のあったポルノ女優マリリン・ジェス(Marilyn Jess 。クレジットは変名のDominique Troyes)が出演している。
1970年代末から1980年代にかけて、ストーリー性のある成人映画に多く出演しており、そのいくつかは日本でも公開され、『女のオブジェ 巴里のダッチワイフ』(La femme objet 1981年 フランス)などはビデオ発売もされている。
1991年を最後にスクリーンから去ってしまい、一般映画に転向する事も無く、どうしたんだろうなぁ・・・と思っていた所、今回調べていたら、かの迷作『しゃべる〇〇 プッシー・トーク』(Le sexe qui parle 1975年 フランス)の脚本も手がけた映画監督Didier Philippe-Gérardと結婚して、二児の母になっていた。感じの良いオバサンになった写真もあって、ホッとした・・・いや、この世界、スポットライトを浴びる為に心身共にボロボロになったり、死んじゃったりする人たちが多いからさぁ・・・。
このマリリン・ジェスを含め、ポルノ女優さん達が演じるシーンでは、ハードコア・フッテージも存在する様で、ネットを検索していたらいくつか出てきた。
無論、日本版ではカットされている。フランス版も日本版より1分長いだけなので、恐らく入っていないと思われるが、オランダ版は40分(!?)も長く、そこには我々が知らない『エマニュエル』が映し出されているのだろう・・・。
なお、IMDbや、日本の映画データーベースサイトを見ると、制作/フランシス・ジャコベッティ、監督/フランシス・ルロワに成っているのだが、恐らく間違い。
作品中のクレジットを観ても、フランシス・ジャコベッティは監督、フランシス・ルロワは脚本となっている。
フランシス・ジャコベッティは、無論、『続・エマニエル夫人』の監督である。現実と妄想が交互に入り乱れる構成や、美しい映像にファッション写真家としてのこだわりを感じる。ただ、『続エマニエル夫人』とは、随分と色合いの違う映像で、それが'70年代と'80年代の差なのか、撮影監督の差なのかは分からないが、残念ながら『続エマニエル夫人』の技巧には達していない。
今作から制作を務めるアラン・シリツキーは、ニューヨーク生まれの映画プロデューサーで、元々は『エマニエル夫人』の配給を勤めたパラフランス(パラマウント・フランス)社のゼネラルマネージャーだった。パラフランス退社後に、今作の制作会社でもあるASP(Alain Siritzky Productions)を立ち上げる。
そんな経緯もあって映画権をイヴ・ルッセ・ルアール(Yves Rousset-Rouard)から引き継いだのであろう。以後、TVシリーズやビデオシリーズなど、数々の「エマニュエル」シリーズを量産していく事となる。
脚本を手がけたフランシス・ルロワも、この後、「エマニュエル」シリーズのいくつかの監督を務め、シリツキーの「エマニュエル」シリーズを支えていく一人となる。
・・・と、世界中の人びとを驚愕させた問題作にして、7年ぶりのシリーズ第四弾。
『エマニュエル』
(原題:Emmanuelle 4 1984年 フランス)
制作:アラン・シリツキー(Alain Siritzky)
監督:フランシス・ジャコベッティ(Francis Giacobetti)
脚本:フランシス・ルロワ(Francis Leroi )
イリ・ルタン(Iris Letans )
撮影:ジャン・フランシス・ゴンドレ(Jean-Francis Gondre)
音楽:ミシェル・マーニュ(Michel Magne )
エマニュエル:ミア・ニグレン(Mia Nygren)
シルヴィア:シルヴィア・クリステル(Sylvia Kristel)
逃れようにも何処までも追いかける元彼マルクの情熱的な愛情におびえるシルヴィア。ビバリーヒルズのパーティで、昔の恋人マルクに出会ったシルヴィアは、彼の前から完全に姿を消す事を決意し、高名なブラジルの整形外科医の元に赴く。全身整形手術で若返ったシルヴィアは、新たなエマニュエルとして生まれ変わる。
あらすじを読めば分かる様に、エマニエルが整形手術で若返って新しいエマニュエルに成った・・・のでは無い。シルヴィアがエマニュエルに生まれ変わるというのが正しい。
シルヴィア・クリステル演じるシルヴィアがエマニュエルに・・・と書いているこちらも何だか良く分からなくなって来る様に、一寸したメタ構造になっているのが乙だ。
あらすじだけ読むと、まるでストーカーから逃れるサスペンスの様だが、全然違う。マルクの情熱的な愛に束縛されてしまうのが怖いの・・・だって私は自由なヤリ〇ンなのよ!あるがままに自由に生きるの!だから彼から逃げるのよ!・・・と言いながら、暇さえ在れば「マルク・・・マルク・・・貴方に会いたい。」とか呟いている、一寸困った女性である。
困った女性の逃避行であっても、観客としては、美しい裸と美しい景色を見られれば元は取った・・・というのがセックスプロイテーション映画であるわけだが、その点では、非常によろしいのでは無いでしょうか?
ファンビデオの様なオープニング映像で使われた写真以外では、今回、シルヴィア・クリステルは裸にはならない。老けたといっても、まだ32歳なのに、そこまで隠す必要は無いんじゃ無いかなぁ・・・とは思うのだが、若々しいミア・ニグレンの裸体と比べられるのは辛いのだろうか。
2代目エマニュエルを襲名したミア・ニグレンはスウェーデン出身のモデルで、垂れ目が可愛い当時24歳。グラマラスというよりはスレンダーで、抜群のプロポーションと透明感あふれるルックスは、シルヴィア・クリステルの跡目を継ぐにはピッタリかも知れない。
なかなかチャーミングな女性だったが、残念ながら、この後一本の映画(『ミア・ニグレン/魔性のエマニュエル』(Plaza Real 1988年 西独)に出演したきりで、銀幕から姿を消してしまった。
恐らく、この映画で最も著名な俳優は、マルクを演じるパトリック・ボーショー(Patrick Bauchau)だろうか。
現在でもアメリカのTVドラマの脇役などを務めるベテランで、どんな映画に出ていたのか今回調べた所、ダリオ・アルジェント(Dario Argento)の『フェノミナ』(Phenomena 1984年 イタリア)に出てくる警部役や、デビット・ハミルトン(David Hamilton)の『妖精たちのプレリュード(DVDタイトル:青い性/処女喪失)』(Premiers désirs 1983年 フランス)でヒロインがあこがれる中年夫婦を演じていた役者さんだと分かって、一寸驚いた。へぇ。
それとエマニュエルが滞在する屋敷に暮らしている女の子役で、当時人気のあったポルノ女優マリリン・ジェス(Marilyn Jess 。クレジットは変名のDominique Troyes)が出演している。
1970年代末から1980年代にかけて、ストーリー性のある成人映画に多く出演しており、そのいくつかは日本でも公開され、『女のオブジェ 巴里のダッチワイフ』(La femme objet 1981年 フランス)などはビデオ発売もされている。
1991年を最後にスクリーンから去ってしまい、一般映画に転向する事も無く、どうしたんだろうなぁ・・・と思っていた所、今回調べていたら、かの迷作『しゃべる〇〇 プッシー・トーク』(Le sexe qui parle 1975年 フランス)の脚本も手がけた映画監督Didier Philippe-Gérardと結婚して、二児の母になっていた。感じの良いオバサンになった写真もあって、ホッとした・・・いや、この世界、スポットライトを浴びる為に心身共にボロボロになったり、死んじゃったりする人たちが多いからさぁ・・・。
このマリリン・ジェスを含め、ポルノ女優さん達が演じるシーンでは、ハードコア・フッテージも存在する様で、ネットを検索していたらいくつか出てきた。
無論、日本版ではカットされている。フランス版も日本版より1分長いだけなので、恐らく入っていないと思われるが、オランダ版は40分(!?)も長く、そこには我々が知らない『エマニュエル』が映し出されているのだろう・・・。
なお、IMDbや、日本の映画データーベースサイトを見ると、制作/フランシス・ジャコベッティ、監督/フランシス・ルロワに成っているのだが、恐らく間違い。
作品中のクレジットを観ても、フランシス・ジャコベッティは監督、フランシス・ルロワは脚本となっている。
フランシス・ジャコベッティは、無論、『続・エマニエル夫人』の監督である。現実と妄想が交互に入り乱れる構成や、美しい映像にファッション写真家としてのこだわりを感じる。ただ、『続エマニエル夫人』とは、随分と色合いの違う映像で、それが'70年代と'80年代の差なのか、撮影監督の差なのかは分からないが、残念ながら『続エマニエル夫人』の技巧には達していない。
今作から制作を務めるアラン・シリツキーは、ニューヨーク生まれの映画プロデューサーで、元々は『エマニエル夫人』の配給を勤めたパラフランス(パラマウント・フランス)社のゼネラルマネージャーだった。パラフランス退社後に、今作の制作会社でもあるASP(Alain Siritzky Productions)を立ち上げる。
そんな経緯もあって映画権をイヴ・ルッセ・ルアール(Yves Rousset-Rouard)から引き継いだのであろう。以後、TVシリーズやビデオシリーズなど、数々の「エマニュエル」シリーズを量産していく事となる。
脚本を手がけたフランシス・ルロワも、この後、「エマニュエル」シリーズのいくつかの監督を務め、シリツキーの「エマニュエル」シリーズを支えていく一人となる。
by redsoldiers
| 2016-04-07 23:50
| 映画
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