新しい読書法 -『チェスの話』を読みながら-
2014年 09月 18日
どうも自分は集中力が無くって、どんなに興味深い本を読んでいても、ちょいちょい気が散ってしまう。
体力が無いのか、十分に一度は本から目を上げてしまうし、二十分に一度はトイレに行ったり、コーヒーを飲んだり、息抜きをしてしまう。
活字を目で追っていても、その内容から類推される記憶をまさぐってしまい、以前見聞きした事や読んだ本をひもといて、もう一度、知識を系統立てて再構築する作業を始めてしまったり・・・場合によっては、そこから想像や推測の羽を広げてしまったり・・・酷い時には、読書を中断してしまったりする。
これは何かのテーマについて調べる為に、複数の本を同時並行的に開いているなら良いのだが、一冊の本を読むという行為に限って言えば良い事では無い。
物語に限らないが、一つの流れに乗ってしまわないと、どうも良くない。本という物は、そういう構造の物として作られているのだから。
最近、寝る前のひととき、グラスを片手に本を読む事が多い。
基本的に、頭が明瞭では無い状態で読書をしても意味が無いので、アルコールをとりながら読書するという事はしなかった。
たとえアルコールを口にしても、大きな氷に蒸留酒を少しばかり注ぐ程度なので、酔っているというにはあたらない。
しかしながら、昨夜はシュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の短編「チェスの話」を読みながら、ウィスキーを口にすると、まもなくほろ酔い気分に陥った。
やがて頭はぼんやりとし、視界の端はかすみ、紙面の上の活字しか目にする物は無くなった。
いつもより多めにアルコールを注いだせいだろうし、疲れていたからもあるだろう。私は本を読みながら酔ったのだ。
しかしどうだろう、残酷な現実をチェスという熱にうかされる事で生き延びた人々の、風変わりな寓話が私をとらえ、踊る活字は紙面から目へと吸い寄せられ、そこから頭に浮かぶイメージ以外は何ものも心をとらえることは無かった。
活字を追い、ページをめくり、時折、グラスを口元に運ぶ。その無機質なまでの繰り返しの中、頭と心は有機的に熱くなり、気がつけば最後の一ページをめくっていた。
酒に酔い、熱に浮かされ、半ば脳が痺れた有様で活字をむさぼる様に追う。眠気のそれとは違う頭の痺れ。
本を読むという作業は、脳を半ば動きを止めなければならないのかも知れない。
読んでいたのは、こちらの本。
『チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)』
著/シュテファン・ツヴァイク
みすず書房 2011年
コレクター諸氏なら誰でも身につまされるであろう「目に見えないコレクション」。〇〇洋書の店員さんは、まるで「書痴メンデル」みたいだ・・・と言った人がいたとか、いないとか。これはSM小説か!?と思わせる不倫物サスペンス「不安」。そして表題作「チェスの話」の四編を収録。
体力が無いのか、十分に一度は本から目を上げてしまうし、二十分に一度はトイレに行ったり、コーヒーを飲んだり、息抜きをしてしまう。
活字を目で追っていても、その内容から類推される記憶をまさぐってしまい、以前見聞きした事や読んだ本をひもといて、もう一度、知識を系統立てて再構築する作業を始めてしまったり・・・場合によっては、そこから想像や推測の羽を広げてしまったり・・・酷い時には、読書を中断してしまったりする。
これは何かのテーマについて調べる為に、複数の本を同時並行的に開いているなら良いのだが、一冊の本を読むという行為に限って言えば良い事では無い。
物語に限らないが、一つの流れに乗ってしまわないと、どうも良くない。本という物は、そういう構造の物として作られているのだから。
最近、寝る前のひととき、グラスを片手に本を読む事が多い。
基本的に、頭が明瞭では無い状態で読書をしても意味が無いので、アルコールをとりながら読書するという事はしなかった。
たとえアルコールを口にしても、大きな氷に蒸留酒を少しばかり注ぐ程度なので、酔っているというにはあたらない。
しかしながら、昨夜はシュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の短編「チェスの話」を読みながら、ウィスキーを口にすると、まもなくほろ酔い気分に陥った。
やがて頭はぼんやりとし、視界の端はかすみ、紙面の上の活字しか目にする物は無くなった。
いつもより多めにアルコールを注いだせいだろうし、疲れていたからもあるだろう。私は本を読みながら酔ったのだ。
しかしどうだろう、残酷な現実をチェスという熱にうかされる事で生き延びた人々の、風変わりな寓話が私をとらえ、踊る活字は紙面から目へと吸い寄せられ、そこから頭に浮かぶイメージ以外は何ものも心をとらえることは無かった。
活字を追い、ページをめくり、時折、グラスを口元に運ぶ。その無機質なまでの繰り返しの中、頭と心は有機的に熱くなり、気がつけば最後の一ページをめくっていた。
酒に酔い、熱に浮かされ、半ば脳が痺れた有様で活字をむさぼる様に追う。眠気のそれとは違う頭の痺れ。
本を読むという作業は、脳を半ば動きを止めなければならないのかも知れない。
読んでいたのは、こちらの本。
『チェスの話――ツヴァイク短篇選 (大人の本棚)』
著/シュテファン・ツヴァイク
みすず書房 2011年
コレクター諸氏なら誰でも身につまされるであろう「目に見えないコレクション」。〇〇洋書の店員さんは、まるで「書痴メンデル」みたいだ・・・と言った人がいたとか、いないとか。これはSM小説か!?と思わせる不倫物サスペンス「不安」。そして表題作「チェスの話」の四編を収録。
by redsoldiers
| 2014-09-18 17:07
| 書籍
|
Comments(2)