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『タジキスタン国境要塞』

 古今東西の戦争・アクション映画を買い付けては、勝手な邦題と「話題騒然!アクション超大作!」などといった身勝手な帯タタキを付けて、B級臭ふんぷんたるDVDソフトに仕立て上げる配給会社・彩プロジェクト。
 ソ連・ロシア映画の買い付けも多く、結構お世話になっています。
 玉石混淆の作品群。今回は「玉」だ!やったね!

『タジキスタン国境要塞』_a0193363_12222449.jpg
『タジキスタン国境要塞 アフガンゲリラ 11時間の死闘』
 (原題:Тихая застава/静かなる前哨基地)
 2011年 ロシア

 公式サイト http://www.tihayazastava.ru/


 御存知の通り、タジキスタン共和国とアフガニスタンとの国境は、ソ連時代より駐留するロシアの国防軍と国境警備隊が守っているのだが、1993年7月13日火曜日、11時間に渡るタジク・アフガンの武装勢力とロシア軍との攻防戦が展開された。
 この第12国境警備前哨基地を巡る激闘では、敵対勢力を撃退したものの、25名の戦死者を出し、最終的には前哨基地を放棄せざるを得なかった。この戦闘の参加者から6名にロシア連邦英雄の称号が贈られた。内4名は追号であった。
 実際に展開された、この戦闘を元にしたヴァレリー・パヴァリャエフ(Валерий Поволяев)の同名小説が原作となっている。

 パッケージのあらすじに目を通すと「1993年7月13日、タジキスタン国境ののどかな村に駐留しているロシア軍第12前線部隊を突如襲ったのは、アフガニスタンの武装集団だった。」などという文字が踊っている。これはロシア陸軍第201自動車化狙撃師団の話かな?っと思ったら、ロシア国境警備隊の話だった。

 正に、タジキスタン・アフガニスタンの国境を守るロシア国境警備隊前哨基地の日常を、実にダラダラと何時間にも渡って映し続け、ソ連・ロシア軍マニアは驚愕し、映画ファンは呆気にとられ、未だDVD化の気配も感じさせないアレクサンドル・ソクーロフのドキュメンタリー映画『精神(こころ)の声(原題:Духовные голоса)』の世界であった。

 良くできた映画だと思う。『アフガン(第九中隊)』なんぞより、よっぽど良い。
 俳優の演技も、演出も、まぎれもなく今のロシア映画なんだが、ソ連の戦争映画的哀愁を漂わせるあたり、物語の舞台となる1993年という中途半端な時代っぽくて良い感じ。
 一寸した場面や小道具なんかも、雑な感じがしないのも好印象。
 タジク人の長老が胸に付けている赤星勲章の七宝が少し割れているのも良い雰囲気。
 国境警備隊員は国境警備迷彩のアフガーンカで、偵察部隊はいわゆるスコーフィールド迷彩と山岳パーカー、古参のウクライナ人曹長は緑のボーダーシャツの上にKLMKと制帽・・・というベタな軍装もグッと来る。ロシア軍のデカイ帽体の制帽に、ソ連軍の帽章というのも、良いよねぇ・・・しみじみ。

 偵察部隊のエピソードが蛇足だな・・・とか、もう少し旧ソ連人として育ったパミール人(タジキスタン山岳部の少数民族)ゲリラに深みを持たせたら、単なる英雄談には成らなかったのにな・・・などと思うのだけれども、それは外国人的感想なのだろう。
 一つの英雄談として感情移入出来たし、泣けましたよ。あたしゃ。
 (T_T)




 こちらのバージョンの予告編も捨てがたい。



by redsoldiers | 2011-11-27 16:07 | 映画 | Comments(0)

歴史軍装研究と模型製作の狭間に


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