『グッバイ、レーニン!』
2011年 11月 08日
世界を騒然とさせているユーロ危機。その体制すら揺るぎかねないEU。
当面、EUはギリシャを見捨てない様だし、ギリシャもユーロ圏から離脱する気は無さそうだ。
思えば20年前、経済危機を迎えたソ連は、「もう、面倒見切れませんわぁ。」と兄弟国を次々と見捨てた末に、その連邦国家も支えきれずバラバラに瓦解した。
見捨てられた兄弟諸国は体制崩壊し、新しい主人に取り込まれ、今度は新しく加わった連邦のツケを支払わされている。バラバラに成った連邦諸国は、衣替えだけして、資源価格の高騰する昨今、再び連邦への道を歩みつつあるのは皮肉な時代の巡り合わせか?
東ベルリンの民主化デモに参加して逮捕された息子。それを目の当たりにして心臓発作で昏睡状態になった母親。母親が昏睡状態から目覚めた時には、ベルリンの壁は崩壊し、東ドイツは社会主義体制が崩壊し西側に併合される直前。熱心な党員だった母親の心臓に負担を掛けない為、必死で東ドイツの消滅を隠し通そうとする息子の奮闘。
・・・一言で言えば、家族を守る為に必死でウソをつき続け、“夢か現か 現か夢か”・・・そして何が真実なんだか分からなくなってしまった親子の話だ。
それはそのまま、旧東ドイツ国民の心情だったんだろう・・・。
劇中では当時のニュース映像が折り込まれたり、当時東ドイツの人々を襲った劇的な社会変化がコミカルに描かれていた。
私はドイツ統一をライブで観ていた人間だったし、ベルリン在住の知人から当時の話を色々と伺っていたので、それなりに理解する事が出来たが、劇場に足を運んだ大学生ぐらいの若い観客には、何の事なんだか良く分かっていない様だった。
ドイツでも、東西で観客の反応は、かなり違ったという・・・それもそうだろう。
映画の中で、主人公が必死になって虚構の東ドイツを作り続ける姿に、若い観客は笑い声をあげていたが、私は切な過ぎてちっとも笑えず、ドイツ人は本当にコメディが下手だな・・・と実感した。
馬鹿な事になってしまったけど、自分たちの築こうとした社会は、気高く力強い理想に満ちていたんだ・・・というメッセージを込めたラストシーンは心を打つ。物心付いた時に未だ社会主義国が存在し、社会主義の理想に少しでもシンパシーを感じた人間には、涙をこらえる事が出来ないだろう。
終劇後、観客が席を立つ中、私はしばし席を離れる事が出来なかった。大の男が、他人様に涙を見せるなんて恥ずかしい事じゃないか。
そもそも自由貿易主義だの、グローバリゼーションだのってのは、市場経済至上主義だの自由経済主義だのと同じで、クソみたいなもんだ。勿論、ブロック経済だの保護貿易主義や、社会主義が素晴らしいと言っている訳ではない。バランスの問題だ。
ただ世界が同じ巨大な市場で、強者が覇権を競い合うなんて、地獄じゃないか。我々は、大戦前夜に戻ってしまったのだろうか?
そして世界が一つの経済圏で繋がり合うなんて危険では無いのか?何故、大恐慌時代にソ連が経済発展する事が出来、東側が崩壊した時ですら、しばし西側が繁栄を享受できたのか・・・考えた方が良い。
世界中が自由主義陣営の勝利を祝い、市場主義経済の輝かしい将来を疑いもしなかった2004年。ドイツで製作された、この作品は未だに色あせてはいない。
当面、EUはギリシャを見捨てない様だし、ギリシャもユーロ圏から離脱する気は無さそうだ。
思えば20年前、経済危機を迎えたソ連は、「もう、面倒見切れませんわぁ。」と兄弟国を次々と見捨てた末に、その連邦国家も支えきれずバラバラに瓦解した。
見捨てられた兄弟諸国は体制崩壊し、新しい主人に取り込まれ、今度は新しく加わった連邦のツケを支払わされている。バラバラに成った連邦諸国は、衣替えだけして、資源価格の高騰する昨今、再び連邦への道を歩みつつあるのは皮肉な時代の巡り合わせか?
そんな見捨てられ、新たな主人に取り込まれた体制側の人々の物語が『グッバイ、レーニン!』。
東ベルリンの民主化デモに参加して逮捕された息子。それを目の当たりにして心臓発作で昏睡状態になった母親。母親が昏睡状態から目覚めた時には、ベルリンの壁は崩壊し、東ドイツは社会主義体制が崩壊し西側に併合される直前。熱心な党員だった母親の心臓に負担を掛けない為、必死で東ドイツの消滅を隠し通そうとする息子の奮闘。
・・・一言で言えば、家族を守る為に必死でウソをつき続け、“夢か現か 現か夢か”・・・そして何が真実なんだか分からなくなってしまった親子の話だ。
それはそのまま、旧東ドイツ国民の心情だったんだろう・・・。
劇中では当時のニュース映像が折り込まれたり、当時東ドイツの人々を襲った劇的な社会変化がコミカルに描かれていた。
私はドイツ統一をライブで観ていた人間だったし、ベルリン在住の知人から当時の話を色々と伺っていたので、それなりに理解する事が出来たが、劇場に足を運んだ大学生ぐらいの若い観客には、何の事なんだか良く分かっていない様だった。
ドイツでも、東西で観客の反応は、かなり違ったという・・・それもそうだろう。
映画の中で、主人公が必死になって虚構の東ドイツを作り続ける姿に、若い観客は笑い声をあげていたが、私は切な過ぎてちっとも笑えず、ドイツ人は本当にコメディが下手だな・・・と実感した。
馬鹿な事になってしまったけど、自分たちの築こうとした社会は、気高く力強い理想に満ちていたんだ・・・というメッセージを込めたラストシーンは心を打つ。物心付いた時に未だ社会主義国が存在し、社会主義の理想に少しでもシンパシーを感じた人間には、涙をこらえる事が出来ないだろう。
終劇後、観客が席を立つ中、私はしばし席を離れる事が出来なかった。大の男が、他人様に涙を見せるなんて恥ずかしい事じゃないか。
そもそも自由貿易主義だの、グローバリゼーションだのってのは、市場経済至上主義だの自由経済主義だのと同じで、クソみたいなもんだ。勿論、ブロック経済だの保護貿易主義や、社会主義が素晴らしいと言っている訳ではない。バランスの問題だ。
ただ世界が同じ巨大な市場で、強者が覇権を競い合うなんて、地獄じゃないか。我々は、大戦前夜に戻ってしまったのだろうか?
そして世界が一つの経済圏で繋がり合うなんて危険では無いのか?何故、大恐慌時代にソ連が経済発展する事が出来、東側が崩壊した時ですら、しばし西側が繁栄を享受できたのか・・・考えた方が良い。
世界中が自由主義陣営の勝利を祝い、市場主義経済の輝かしい将来を疑いもしなかった2004年。ドイツで製作された、この作品は未だに色あせてはいない。
by redsoldiers
| 2011-11-08 08:46
| 映画
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