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ベースとしてのAFV模型(1)

 スケールモデルの世界では、フィギュアというのはマイノリティらしい。

 正直、ピンと来ないのだ。
 というのも、子供の頃からフィギュアが好きだったし、模型雑誌でキャラクター物のガレージキットのジャンルでは、フィギュアはポピュラーなアイテムだったからだ。雑誌や書籍を手にしても、劇中に登場するマシーン類と、キャラクターのフィギュアは同列に並べられていたので、そこに上下の差別は無いと思っていた。
 思春期の金はないが多感でエネルギーだけは無尽蔵な時期には、TRPGと関連のフィギュアにドップリだった事もあり、尚のこと、周りの環境も自分自身も、フィギュア道であった。
 大人になり、再び軍装品の世界から模型の世界に戻った時、手に取るのはやはりフィギュアであった。今度はスケールモデルのフィギュア・・・ヒストリカルフィギュアであったが。


 初めて手にした模型雑誌は、AFV模型専門誌「アーマーモデリング(以下「AM」と略)」であった。
 AFV模型の雑誌を手に取ったのは、ヒストリカルフィギュア専門誌が無かった事。そしてヒストリカルフィギュアの主要なスケール(1/35~1/32)と同じ、もしくは近いのがAFV模型だからだ。
 しかも「AM」誌上では、時折フィギュア特集をしていたし、松岡氏によるフィギュアの記事が連載されていた。誌面でも、フィギュアについて事ある毎に触れて、プッシュしていたので、スケールモデル(特にAFV)の世界では、フィギュアはポピュラーで、人気のある、愛情を持って接せられている存在であると思っていた。


 ・・・それは幻想であったと言う事は、東京フィギュアソサエティ(以下「TFS」と略)のミーティングに参加する様になって、初めて気が付いた。

 当時、まだリトル・ウォリアーズ(以下「LW」と略)の王様として君臨していなかったKou陛下が、しきりに自分たちフィギュアモデラーの不遇を嘆いていた。
 曰く、スケールモデル(特にAFV)の世界では、フィギュアなんてものは、添え物だし、余分な物としか考えられていないのだと。「AM」誌においても、フィギュアを特集すると売り上げが落ちるとか、松岡氏の連載は不評だとか、フィギュアなんかに誌面を割くのはもったいないとか・・・散々なアンケート結果なのだとか。


 なるほど、結局フィギュアはスケール模型の世界では、アクセサリーにしか過ぎないのだ。中心となる模型をより華やかにする為の、飾り台やディオラマのストラクチャー、積載物などと変わらないのだ。
 アクセサリーを上手くこなすのは難しいし、上手く使いこなせば、より魅力的に作品を飾る事が出来る。
 しかもフィギュアは、スケールモデルの世界では手つかずなので、この部分を掘り返せば、周辺業界に利潤をもたらす可能性がある。
 ・・・でも、そこに愛があるわけではないし、けっしてフィギュアを中心には据えない。たとえ中心に据えたとしても、そんな作品は余興なのだ。余興ばかりやっている人間は変人で目障りだし、コンテストに持ち込まれても邪魔なのだ。本音はそんな所だろう。

 ・・・それが日本のスケールモデルの世界(業界)の現実だったのだろう。


 これは全ての日本のスケールモデルの雑誌、モデラーに共通する事だ。
 「AM」誌だってAFV模型専門誌であるし、読者はAFVモデラーだ。フィギュアに対する愛情が薄くても仕方がない。なにも「AM」誌や、AFV模型の業界が特別だった訳ではない。

 ・・・しかしだ。初めから愛してなんかいないと言われていたのなら良い。
 だが、さも愛情があるかの様に振る舞い、それはウソだったと言われたらどうだろう?裏切られた!と感じないだろうか?

 ・・・許せない・・・僕らの純粋な心は傷つき、踏みにじられたのだ・・・。
 復讐してやる!踏みにじり返してやる!フィギュアでAFVを飾り物にして踏みにじってやる!

 こうして、ベースとしてのAFV模型への道が始まるのである。


(あ、長い?前置きとして長い?)
by redsoldiers | 2011-04-09 14:08 | 模型論考 | Comments(0)

歴史軍装研究と模型製作の狭間に


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