Нонна Мордюкова
2011年 01月 08日
2008年に惜しまれつつ他界したソ連を代表する女優Нонна Мордюкова(ノンナ・モルジュコーワ)。
以前、後輩に「世界三大おばさんといえば、エリザベス女王、オルブライト国務長官、そしてジェシカおばさんです。」と言われた。
「スプーンおばさんは、違うのかい?」と問うと、
「違います!」と断言された・・・。
しかし、このНонна Мордюковаの名前を挙げたら、そうは言えまい!
その三人とも並び称されても良いし、三人まとめて相手にしてもいいぞ!という見事なおばさん、
それがНонна Мордюковаだ!
何とたくましい姿だろう。
資本主義化されたロシア・ウクライナのヒョロリとした脆弱な女優やモデルとも違う。
帝政時代の煙草と阿片の匂いがする、貴族主義的な世界の女性とも違う。
かといって、キューブな体躯(横から見ても、上から見ても同じ姿)のロシアのおばさんとも違う。
正に大地からわき上がる母性。
その腕で麦の穂を刈り取るも良し!
握ったハンマーで鉄を鍛えるも良し!
その豊満な体で子供達を守り育て挙げるマーマ。
これぞ社会主義労働者英雄的な美しく強い女性美ではなかろうか?
そんなにソ連映画を観ているわけではないので申し訳ないが、
彼女を、戦争の中でもたくましく生きる肝っ玉母さんとして、劇中に何度かお見受けした。
『彼らは祖国のために戦った(邦題:バトル・フォー・スターリングラード)』における、
夜這いをかけた赤軍兵士を返り討ちにし、しかりとばす農家の主婦役にはしびれたものだ。
そんな彼女の代表作は(1987年まで上映禁止だったから代表作じゃないか)、『コミッサール』である。
赤軍と白軍が血で血を争う内戦、ウクライナを舞台にした作品で、
彼女が演じるのは、同志の子供を身ごもってしまった女性コミッサール(政治将校)である。
映画自体が、強烈なエネルギーに満ちた怪作であるが、彼女の魅力も満載である。
病気の妻の為に脱走した兵士に苛烈な判決を告げるコミッサールとしての顔、
始めての妊娠に不安を覚える妊婦としての顔、
愛する男性に心動かされる女性としての顔、
母親と革命家との矛盾に揺れる羞恥と苦悩の顔。
力強く切ない姿は心を打つ。
そう、ミリタリーフィギュアでフィメールフィギュアを作るにしたって、
俺はこういうНонна Мордюковаみたいなフィギュアを作りたいんだよ!
モデルに軍服を着せたみたいなコスプレフィギュアを作りたいんじゃないんだ!
フィギュアの顔が可愛いだの、スリムでスタイルが良いだの、何だそりゃ!?
その点、良く分かっているよね・・・「ミニ・アート」。
流石はウクライナのメーカー(原型師はロシア人)だ。
これだよ!これ!
こういうのが作りたいわけよ。
その点、最悪なのがジュリアス・モデルのフィギュア。
なんだこれは!?イルザか!!
ふざけるな!
p.s.
おばさん、おばさんと連呼してしまった罪滅ぼしに、
Нонна Мордюковаの若き日の姿も紹介しておきますね。
by redsoldiers
| 2011-01-08 19:44
| 映画
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