『メアリーの総て』
2019年 01月 14日
旧年中も色々と映画を見ましたが、昨年の映画締めは新宿シネマカリテで『メアリーの総て』でした。
一年を締めくくるに遜色無い、中々良く出来た映画でしたぞ。
『メアリーの総て』
(原題:Mary Shelley 2017年 アイルランド・ルクセンブルグ・アメリカ)
監督:ハイファ・アル=マンスール(Haifaa Al-Mansour)
脚本:エマ・ジェンセン(Emma Jensen)
ハイファ・アル=マンスール
音楽:アメリア・ワーナー(Amelia Warner)
主演:エル・ファニング(Elle Fanning)
ゴシック小説、怪奇小説、そしてSF小説の古典『フランケンシュタイン』を描いたメアリー・シェリーの物語。
無政府主義の先駆者である父親ウィリアム・ゴットウィン(William Godwin)とフェミニズムの創始者とされる母親メアリ・ウォルストンクラフト(Mary Wollstonecraft)という先鋭的な両親の娘として生まれたメアリー。産後の肥立ちが悪く幼くして母を亡くしたメアリーは、経営が傾いた本屋を営む父親と口うるさい学問とは程遠い継母、連れ子の妹弟と暮らす日々。文化人の父親から高邁(こうまい)な学問の手ほどきを受けながらも、無くなった母の墓所でこっそり流行りの怪奇小説を読んだり、自分の文章を書いたりするのが、息が詰まりそうな生活での息抜き・・・という文学少女。
そんな彼女を見かねた父親が、地方在住の親戚の屋敷に送り出してくれるのだが、その屋敷で開かれた文士の集いで出会ったのが、新進気鋭の詩人パーシー・シェリー(Percy Shelley)。たちまち二人は恋に落ち駆け落ちにまで至る。しかし、愛するパーシーは自由恋愛を気取る妻子持ちで、彼女の妹にまで手を出す下種、借金と親の財産で放蕩三昧のボンクラのボンでありました・・・待ち受けるメアリーの苦難の日々・・・そして・・・
・・・というお話。
いうなれば、著名文化人の娘でお堅い文化的教育を受けながら、漫画やラノベが大好きで、二次創作に夢中になっている可愛い文系少女が、新進気鋭のサブカル系文化人のだめんずにコロッといっちゃって、大変な苦労をした末にセンセーショナルな小説を書くんだけど、年若い女性への差別でなかなか報われない・・・ってな物語です。
ともするとドロドロと重く湿っぽくなるか、安易なメロドラマに成りがちな話ですが、そこはそうならない所にセンスを感じます。
時々、登場人物たちの言動が子供っぽいなぁ・・・と思ったのですが、良く考えたら主人公のメアリーが16~18歳、恋人のパーシーですら21~23歳といったところで、そりゃそうだよなぁ・・・。
映像や音楽、衣装やセットといった美術は、日本版ポスターで想像する様なガーリーな雰囲気を醸し出しながらも、しっとりと美しくエレガントで、グロテスクだったり重々しくなり過ぎない程度に19世紀ゴシック小説の世界を表現し・・・それでいて、サウジアラビア初の女性映画監督ハイファ・アル=マンスールが、女性が抑圧されていた時代背景に自立心の強い少女の葛藤と成長を描くことで、適度にモダンなモチーフの作品にしています。
主演のエル・ファニングは、インタビューを見ると普通の女の子という感じですが、劇中は凛として作品の要になっています。良い女優さんですね。
それとなんと言っても、ヒロインの父親ゴッドウィン先生が素敵です。お父さんだって色々と大変なんだよぉ・・・って中で、我の強い娘を突き放しはするけれど、決して見放したりせず、要所でハッとさせられる大人の意見をはくんですね。お父さん偉いなぁ・・・本当に偉いよ。うんうん。
すべてが高いレベルでバランスのとれたエンターテインメント作品でした。
余談ですが、女優でもあるアメリア・ワーナーの作曲したサントラが気に入って買いたかったのですが、なんと!CD販売は無く、データ配信しかしていない様です!!
・・・もうそんな時代なんだなぁ・・・ってか、データじゃんくて、物をよこせよ!物を!
ヽ(TдT)ノ ウォォォ! ユイブツロン!
一年を締めくくるに遜色無い、中々良く出来た映画でしたぞ。
『メアリーの総て』
(原題:Mary Shelley 2017年 アイルランド・ルクセンブルグ・アメリカ)
監督:ハイファ・アル=マンスール(Haifaa Al-Mansour)
脚本:エマ・ジェンセン(Emma Jensen)
ハイファ・アル=マンスール
音楽:アメリア・ワーナー(Amelia Warner)
主演:エル・ファニング(Elle Fanning)
ゴシック小説、怪奇小説、そしてSF小説の古典『フランケンシュタイン』を描いたメアリー・シェリーの物語。
無政府主義の先駆者である父親ウィリアム・ゴットウィン(William Godwin)とフェミニズムの創始者とされる母親メアリ・ウォルストンクラフト(Mary Wollstonecraft)という先鋭的な両親の娘として生まれたメアリー。産後の肥立ちが悪く幼くして母を亡くしたメアリーは、経営が傾いた本屋を営む父親と口うるさい学問とは程遠い継母、連れ子の妹弟と暮らす日々。文化人の父親から高邁(こうまい)な学問の手ほどきを受けながらも、無くなった母の墓所でこっそり流行りの怪奇小説を読んだり、自分の文章を書いたりするのが、息が詰まりそうな生活での息抜き・・・という文学少女。
そんな彼女を見かねた父親が、地方在住の親戚の屋敷に送り出してくれるのだが、その屋敷で開かれた文士の集いで出会ったのが、新進気鋭の詩人パーシー・シェリー(Percy Shelley)。たちまち二人は恋に落ち駆け落ちにまで至る。しかし、愛するパーシーは自由恋愛を気取る妻子持ちで、彼女の妹にまで手を出す下種、借金と親の財産で放蕩三昧のボンクラのボンでありました・・・待ち受けるメアリーの苦難の日々・・・そして・・・
・・・というお話。
いうなれば、著名文化人の娘でお堅い文化的教育を受けながら、漫画やラノベが大好きで、二次創作に夢中になっている可愛い文系少女が、新進気鋭のサブカル系文化人のだめんずにコロッといっちゃって、大変な苦労をした末にセンセーショナルな小説を書くんだけど、年若い女性への差別でなかなか報われない・・・ってな物語です。
ともするとドロドロと重く湿っぽくなるか、安易なメロドラマに成りがちな話ですが、そこはそうならない所にセンスを感じます。
時々、登場人物たちの言動が子供っぽいなぁ・・・と思ったのですが、良く考えたら主人公のメアリーが16~18歳、恋人のパーシーですら21~23歳といったところで、そりゃそうだよなぁ・・・。
映像や音楽、衣装やセットといった美術は、日本版ポスターで想像する様なガーリーな雰囲気を醸し出しながらも、しっとりと美しくエレガントで、グロテスクだったり重々しくなり過ぎない程度に19世紀ゴシック小説の世界を表現し・・・それでいて、サウジアラビア初の女性映画監督ハイファ・アル=マンスールが、女性が抑圧されていた時代背景に自立心の強い少女の葛藤と成長を描くことで、適度にモダンなモチーフの作品にしています。
主演のエル・ファニングは、インタビューを見ると普通の女の子という感じですが、劇中は凛として作品の要になっています。良い女優さんですね。
それとなんと言っても、ヒロインの父親ゴッドウィン先生が素敵です。お父さんだって色々と大変なんだよぉ・・・って中で、我の強い娘を突き放しはするけれど、決して見放したりせず、要所でハッとさせられる大人の意見をはくんですね。お父さん偉いなぁ・・・本当に偉いよ。うんうん。
すべてが高いレベルでバランスのとれたエンターテインメント作品でした。
余談ですが、女優でもあるアメリア・ワーナーの作曲したサントラが気に入って買いたかったのですが、なんと!CD販売は無く、データ配信しかしていない様です!!
・・・もうそんな時代なんだなぁ・・・ってか、データじゃんくて、物をよこせよ!物を!
ヽ(TдT)ノ ウォォォ! ユイブツロン!
by redsoldiers
| 2019-01-14 19:17
| 映画
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