『SEX発電』
2017年 01月 07日
年末にようやくブルーレイディスク・プレイヤーを買いまして、これでようやくブルーレイというメディアを利用出来る様になりました。
正直言ってDVDで充分ですし、VHSでも充分なんじゃ・・・という画質の映画を観る事が多いので必要としていなかったんですが、ブルーレイでしか販売されていない映画があったり、廃盤DVDよりブルーレイの方が安い(!?)という「どうかしているぜ!」という状況に屈しました。
今まで使用していたデジタル放送に対応していない古いVHS/DVD/HDのデッキは、画像はD端子だったのに対し、新品のデッキはHDMI接続・・・いやぁ、全然違うね!
HDMIで繋いだデッキで鑑賞すると、非常に画質がクリア。古いデッキのD端子だと、微妙にボンヤリした画質で再生される・・・のですが、こっちの方が映像的に良い場合もあるのが嗜好品の常。元々のフィルムは、そんなにクリアな映像を映し出す物とは限らないしね。
と言うわけで、新しいプレイヤーの"こけら落とし"に何を観ようかなぁ・・・と悩んだ末にチョイスしたのが、こちらの映画。
『SEX発電』
(原題:Conviene far bene l'amore 1975年 イタリア)
監督/脚本:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ(Pasquale Festa Campanile)
パッケージの何処にも表記されていませんが、特典ディスクとしてブルーレイ版が同封されています。
しかも日本劇場公開に際して後半部分をカットした81分の短縮版が収録されている表記に成っていますが、実際には106分の全長版が入っています・・・ご安心を。
エネルギーが枯渇した21世紀の地球。電気やガソリン、ガスで動く機械は過去を懐かしむオブジェと化し、ロウソクや松明の明かり、移動手段は馬車や人力車、通信手段は伝書鳩・・・という産業革命以前の生活に堕していた世界で、新たなエネルギーを発明すべく科学者達が血眼になっている中、ローマの科学者エンリコ・コッポラ教授は性行為から生じる電気を採取、蓄電するシステムの開発に成功する!このSEX発電は世界を救うのか!?
・・・と、基本的には'70年代のイタリア式艶笑コメディなので、「資源が枯渇したからって風力や水力発電はあるだろ?」とか、「電力が手に入ったらジェット機も飛ぶのか?オール電化なの?」とか、突っ込みどころはありますが、その辺は軽くスルーでお願いします。
物語は、「これでイタリアはエネルギー大国だ!」と意気込む政府や法王庁をも巻き込んだ様々な実証実験と、秘密裏に被験者にされたローマ一の絶倫男ダニエレと子沢山の主婦フランチェスカの不倫愛を軸に物語は進んでいきます。
SEXで発電・・・という、あんまりにもあんまりで安易な設定ですが、これが実は非常に感動的。ダニエレとフランチェスカのSEXによって発電された電気が、消えて久しい街の街頭を一斉に点灯させるシーンを見た時には、涙を禁じ得ませんでした。
考えてもみて下さい。愛によるSEXも、街に灯る明かりも、それは自由と平和の象徴なのです。それは世界中、どこでもそうなのです。糞みたいなこの世の中には、その片方が、或いは両方が欠けている世界が、今この瞬間にも存在しているのです。でも、ここにはその両方の喜びがあるのです!
・・・しかし物語は、ハッピーな方向には向かいません。
SEX発電によって電力を手に入れた社会は、SEXを奨励し、制度化し、やがてエネルギー生産としてのSEXのみが目的となるディストピアへと変貌していくのです。
性の解放では無く、エネルギー政策として奨励されるフリーセックスや同性愛、様々な性的趣向。その為には法律の改正、戒律の恣意的な解釈もいとわない為政者。そしてSEXに愛は必要無いと、性行為に及ばないプラトニックな愛を・・・やがては恋愛その物も禁止する社会。
ドタバタ喜劇の味わいで誤魔化されていますが、そもそもが恐ろしいエピソードばかりで、例えば被験者の二人が選ばれたのは、ローマで最もSEXに貪欲そうな男女だから・・・なのですが、情報源は警察の資料なんですね。この時代のイタリア警察は市民の性的趣向に至るまで、個人情報を全て監視しているのです。
教授の病院に二人を連れてくるのも、交通事故を装って拉致しますし、邪魔な二人の配偶者も事故に見せかけて消そうとしたり、SEX発電を巡って外国のスパイが暗躍したり・・・黒いです。
日本では1982年に劇場公開され、VHSのリリースもあった様です。永らくDVD化されていませんでしたが、『別冊映画秘宝80年代悪趣味ビデオ学入門!』(2013年 洋泉社)に取り上げられた後、昨年2016年に晴れてDVDがリリースされました。
70年代らしい性革命や環境・エネルギー問題といったテーマを含めつつ、政府や教会といった権力に対して皮肉を込め、イタリア式エロコメディの体裁を取ったディストピア映画の佳作に仕上がっています。お薦めです。
正直言ってDVDで充分ですし、VHSでも充分なんじゃ・・・という画質の映画を観る事が多いので必要としていなかったんですが、ブルーレイでしか販売されていない映画があったり、廃盤DVDよりブルーレイの方が安い(!?)という「どうかしているぜ!」という状況に屈しました。
今まで使用していたデジタル放送に対応していない古いVHS/DVD/HDのデッキは、画像はD端子だったのに対し、新品のデッキはHDMI接続・・・いやぁ、全然違うね!
HDMIで繋いだデッキで鑑賞すると、非常に画質がクリア。古いデッキのD端子だと、微妙にボンヤリした画質で再生される・・・のですが、こっちの方が映像的に良い場合もあるのが嗜好品の常。元々のフィルムは、そんなにクリアな映像を映し出す物とは限らないしね。
と言うわけで、新しいプレイヤーの"こけら落とし"に何を観ようかなぁ・・・と悩んだ末にチョイスしたのが、こちらの映画。
『SEX発電』
(原題:Conviene far bene l'amore 1975年 イタリア)
監督/脚本:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ(Pasquale Festa Campanile)
しかも日本劇場公開に際して後半部分をカットした81分の短縮版が収録されている表記に成っていますが、実際には106分の全長版が入っています・・・ご安心を。
エネルギーが枯渇した21世紀の地球。電気やガソリン、ガスで動く機械は過去を懐かしむオブジェと化し、ロウソクや松明の明かり、移動手段は馬車や人力車、通信手段は伝書鳩・・・という産業革命以前の生活に堕していた世界で、新たなエネルギーを発明すべく科学者達が血眼になっている中、ローマの科学者エンリコ・コッポラ教授は性行為から生じる電気を採取、蓄電するシステムの開発に成功する!このSEX発電は世界を救うのか!?
・・・と、基本的には'70年代のイタリア式艶笑コメディなので、「資源が枯渇したからって風力や水力発電はあるだろ?」とか、「電力が手に入ったらジェット機も飛ぶのか?オール電化なの?」とか、突っ込みどころはありますが、その辺は軽くスルーでお願いします。
物語は、「これでイタリアはエネルギー大国だ!」と意気込む政府や法王庁をも巻き込んだ様々な実証実験と、秘密裏に被験者にされたローマ一の絶倫男ダニエレと子沢山の主婦フランチェスカの不倫愛を軸に物語は進んでいきます。
SEXで発電・・・という、あんまりにもあんまりで安易な設定ですが、これが実は非常に感動的。ダニエレとフランチェスカのSEXによって発電された電気が、消えて久しい街の街頭を一斉に点灯させるシーンを見た時には、涙を禁じ得ませんでした。
考えてもみて下さい。愛によるSEXも、街に灯る明かりも、それは自由と平和の象徴なのです。それは世界中、どこでもそうなのです。糞みたいなこの世の中には、その片方が、或いは両方が欠けている世界が、今この瞬間にも存在しているのです。でも、ここにはその両方の喜びがあるのです!
・・・しかし物語は、ハッピーな方向には向かいません。
SEX発電によって電力を手に入れた社会は、SEXを奨励し、制度化し、やがてエネルギー生産としてのSEXのみが目的となるディストピアへと変貌していくのです。
性の解放では無く、エネルギー政策として奨励されるフリーセックスや同性愛、様々な性的趣向。その為には法律の改正、戒律の恣意的な解釈もいとわない為政者。そしてSEXに愛は必要無いと、性行為に及ばないプラトニックな愛を・・・やがては恋愛その物も禁止する社会。
ドタバタ喜劇の味わいで誤魔化されていますが、そもそもが恐ろしいエピソードばかりで、例えば被験者の二人が選ばれたのは、ローマで最もSEXに貪欲そうな男女だから・・・なのですが、情報源は警察の資料なんですね。この時代のイタリア警察は市民の性的趣向に至るまで、個人情報を全て監視しているのです。
教授の病院に二人を連れてくるのも、交通事故を装って拉致しますし、邪魔な二人の配偶者も事故に見せかけて消そうとしたり、SEX発電を巡って外国のスパイが暗躍したり・・・黒いです。
日本では1982年に劇場公開され、VHSのリリースもあった様です。永らくDVD化されていませんでしたが、『別冊映画秘宝80年代悪趣味ビデオ学入門!』(2013年 洋泉社)に取り上げられた後、昨年2016年に晴れてDVDがリリースされました。
70年代らしい性革命や環境・エネルギー問題といったテーマを含めつつ、政府や教会といった権力に対して皮肉を込め、イタリア式エロコメディの体裁を取ったディストピア映画の佳作に仕上がっています。お薦めです。
by redsoldiers
| 2017-01-07 17:17
| 映画
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