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『マウスガード 1152年 秋』

 擬人化されたネズミ戦士を主人公としたアメコミの日本版を、amazonさんが「貴方にお勧めです!」というので、ジュンク堂で買ってきました(笑)。


マウスガード 1152年 秋

デイビッド・ピーターセン / 小学館集英社プロダクション


『マウスガード 1152年 秋(Mouse Guard Fall 1152 )』

 著:デイビッド・ピーターセン(David Petersen)
 訳:柳田 真坂樹/滝野原 南生

 小学館集英社プロダクション(2015年)


 過酷な自然の中で、木のうろや岩陰にこっそりと築かれた野ねずみたちの街。そんな街や村、港が点在するマウス領の安全と、種族の繁栄の為に戦うマウスガードの物語り。
 マウスガードは、ロックヘイヴン砦を根城に、ガード母長グエンドリンの指揮の下、マウス領の安全を守る騎士団だ。原野に点在する居住地と居住地の間の道を日々パトロールし、旅人の道案内や警護、時には新たな安全な道を開拓しなければ成らない。更には捕食者の魔の手から領民を守り、イタチ将軍の様なマウス領への侵略者が現れれば、先頭に立って戦う。ガードへの誓いを胸に、たぐいまれな技量と勇気を持つ選ばれし戦士・・・ネズミのレンジャー・・・いや、ネズミ版ジェダイの騎士だ(笑)。

 海の向こうでは結構な人気がある様で、この『1152年 秋』に続いて続編の『Winter 1152』、更には英雄“黒の斧”の若かりし頃(1115年)の話『The Black Axe』、多数の作家によるアンソロジー『Legends of the Guard』が刊行されている。
 また(日本では、こちらの方が有名らしいが)『Mouse Guard Role Playing Game』としてTRPG化されてもいる。


 正直言って、擬人化されたネズミの冒険ファンタジーというコンセプトは、さして目新しい物では無い。日本人には、アニメにも成った斎藤惇夫の児童文学『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』が馴染み深いだろうか。欧州の中世・近世をイメージした世界で、擬人化されたネズミたちが剣を振るう・・・という物語も、英国はブライアン・ジェイクス(Brian Jacques)の児童文学『レッドウォール伝説』シリーズなど、多くの例を見る。
 イラストとしても、英国のジル・バークレム(Jill Barklem)の描く『のばらの村のものがたり(Brambly Hedge)』の何度見ても飽きない圧倒的な精密さに比べると、見劣りがしてしまう。

 おそらくはアメコミという媒体での展開が珍しかったのだろう。適度に可愛くも、適度に残酷、そして適度に普遍的なコンセプトの物語をコミックで読める。それ自体は、悪く無いと思う。
 後は、いかに個性的なキャラクターが作品をユニークな物にしていくか・・・という所なので、今後の展開を見守りたいな・・・全然褒めて無い書評だけど(汗)。


 公式サイト『MouseGuard by David Petersen』
by redsoldiers | 2015-06-03 20:34 | 書籍 | Comments(0)

歴史軍装研究と模型製作の狭間に


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