Friulmodel 「Grenadine Quadi late 14th C.」
2014年 09月 24日
「すっごく危険なフィギュアがあるんですよ。」・・・ある良く晴れた日・・・私の他には客は居ない、フィギュアの入った小箱を手に取る音だけが響く店内で、某日本唯一のフィギュア専門店Mの店長さんが囁いた。
「危険なフィギュア・・・何ですか、それは?」 高まる胸の鼓動。
「ある予言者のフィギュアなんです・・・右手に剣、左手にコーランを持った・・・。」
「ええ!?それは立体化して良いんですか?」
「・・・だから、危険でしょ?」
悪魔はそっと微笑んだ。
そのフィギュアが、こちら。どん。
「・・・確かに・・・右手に剣・・・左手にコーラン。・・・でも、“ぐれなでぃん くぁでぃ 14世紀後半”て書いてますけど・・・誰?」
「・・・え!?」
その正体は、あのお方では無く、「ナスル朝グラナダ王国のカーディー」。
ナスル朝グラナダ王国は、イベリア半島に最後に残ったイスラム王朝で、1492年にカスティーリャ王国によって滅ぼされ、これによってイベリア半島のキリスト教徒によるレコンキスタ(再征服)運動が完遂する。
一方、カーディーとは、イスラム法の裁判官。
しかしまた、なんでこんなテーマをフィギュアにしたのか・・・何か元ネタがあるのかな?と思ったら、マニュアルに律儀に書いてありました。“オスプレイ社「Men at arms」シリーズの一冊『エル・シッドとレコンキスタ―1050‐1492』のイラスト・F2”と。
こちらが、その元ネタのイラスト。
おお、こりゃ明確。
『エル・シッドとレコンキスタ―1050‐1492 キリスト教とイスラム教の相克』 (オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ)
著/David Nicolle
画/Angus McBride
訳/小牧大介
新紀元社 2001年(原著 1988年)
ISBN-13: 978-4775300268
・・・ただ、この元ネタのイラスト自体に一寸した疑問が無いわけではありません。
というのも、元ネタのイラストの元ネタも明確でして、アルハンブラ宮殿にある「諸王の間」もしくは「裁きの間」と呼ばれる部屋に描かれた天井画を参考にしたと明記されています。
アルハンブラ宮殿には、この画を含めて二つの天井画がある様です。例外を除いて通常は写実的な描写をしないイスラム世界に在って、非常に奇異な感覚を覚えます(描いた画家はイタリアのキリスト教徒の様ですが)。おかげで貴重な絵画資料となっています。
この天井画には10人のアラブ人貴族が描かれており、これをナスル朝初代から十代の王の図、或いはムスリム君主の寄り合いの図とする説と、重臣が裁判を行っている図とする説とがあります。前者に従えば「諸王の間」ですし、後者に従えば「裁きの間」と呼ぶ事になります。
後者の説にしたがえば、裁判を行うとすればイスラム法廷であり、その判事はカーディーであろう・・・という事から、上記のイラストが起こされている訳です。
・・・ですから、カーディーと断言出来ないんじゃない?ともいえますが、13世紀から14世紀のナスル朝の王、もしくはアラブ人貴族(含むカーディー)である事には間違い無いのでしょう。
では早速、中を見てみてましょう。
さすがは精密な可動履帯で有名なフリウル。古いキットですが、ダボとダボ穴もしっかりとした物ですし、合いも申し分無く、組み立てにストレスはありません。
ご丁寧に、剣の柄頭が別パーツになっていますが、小さいパーツだからといって先に接着するのはやめましょう。絶妙に手にはめられなくなります(←やった)。手に剣を握らせてから、柄頭を取り付けて下さい。
こちらが荒取り&磨きをかけた後、組み立てた姿。
かっこいい!
元ネタのイラストも明確なので、これを参考にすれば、何の苦も無く、すぐに塗れますね。
・・・とか言いつつ、組み立ててから、一年半ほど塩漬けにしていますけど・・・。
(追記)
完成させました。
完成品
Friulmodel 「Grenadine Quadi late 14th C.」(5)
「危険なフィギュア・・・何ですか、それは?」 高まる胸の鼓動。
「ある予言者のフィギュアなんです・・・右手に剣、左手にコーランを持った・・・。」
「ええ!?それは立体化して良いんですか?」
「・・・だから、危険でしょ?」
悪魔はそっと微笑んだ。
そのフィギュアが、こちら。どん。
「・・・確かに・・・右手に剣・・・左手にコーラン。・・・でも、“ぐれなでぃん くぁでぃ 14世紀後半”て書いてますけど・・・誰?」
「・・・え!?」
その正体は、あのお方では無く、「ナスル朝グラナダ王国のカーディー」。
ナスル朝グラナダ王国は、イベリア半島に最後に残ったイスラム王朝で、1492年にカスティーリャ王国によって滅ぼされ、これによってイベリア半島のキリスト教徒によるレコンキスタ(再征服)運動が完遂する。
一方、カーディーとは、イスラム法の裁判官。
しかしまた、なんでこんなテーマをフィギュアにしたのか・・・何か元ネタがあるのかな?と思ったら、マニュアルに律儀に書いてありました。“オスプレイ社「Men at arms」シリーズの一冊『エル・シッドとレコンキスタ―1050‐1492』のイラスト・F2”と。
こちらが、その元ネタのイラスト。
おお、こりゃ明確。
『エル・シッドとレコンキスタ―1050‐1492 キリスト教とイスラム教の相克』 (オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ)
著/David Nicolle
画/Angus McBride
訳/小牧大介
新紀元社 2001年(原著 1988年)
ISBN-13: 978-4775300268
・・・ただ、この元ネタのイラスト自体に一寸した疑問が無いわけではありません。
というのも、元ネタのイラストの元ネタも明確でして、アルハンブラ宮殿にある「諸王の間」もしくは「裁きの間」と呼ばれる部屋に描かれた天井画を参考にしたと明記されています。
アルハンブラ宮殿には、この画を含めて二つの天井画がある様です。例外を除いて通常は写実的な描写をしないイスラム世界に在って、非常に奇異な感覚を覚えます(描いた画家はイタリアのキリスト教徒の様ですが)。おかげで貴重な絵画資料となっています。
この天井画には10人のアラブ人貴族が描かれており、これをナスル朝初代から十代の王の図、或いはムスリム君主の寄り合いの図とする説と、重臣が裁判を行っている図とする説とがあります。前者に従えば「諸王の間」ですし、後者に従えば「裁きの間」と呼ぶ事になります。
後者の説にしたがえば、裁判を行うとすればイスラム法廷であり、その判事はカーディーであろう・・・という事から、上記のイラストが起こされている訳です。
・・・ですから、カーディーと断言出来ないんじゃない?ともいえますが、13世紀から14世紀のナスル朝の王、もしくはアラブ人貴族(含むカーディー)である事には間違い無いのでしょう。
では早速、中を見てみてましょう。
さすがは精密な可動履帯で有名なフリウル。古いキットですが、ダボとダボ穴もしっかりとした物ですし、合いも申し分無く、組み立てにストレスはありません。
ご丁寧に、剣の柄頭が別パーツになっていますが、小さいパーツだからといって先に接着するのはやめましょう。絶妙に手にはめられなくなります(←やった)。手に剣を握らせてから、柄頭を取り付けて下さい。
こちらが荒取り&磨きをかけた後、組み立てた姿。
かっこいい!
元ネタのイラストも明確なので、これを参考にすれば、何の苦も無く、すぐに塗れますね。
・・・とか言いつつ、組み立ててから、一年半ほど塩漬けにしていますけど・・・。
(追記)
完成させました。
完成品
Friulmodel 「Grenadine Quadi late 14th C.」(5)
by redsoldiers
| 2014-09-24 18:49
| キットレビュー
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