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色に迷う

 スケールモデルの塗装の一番の問題は、いかにリアルな色を見つけるか・・・という事に尽きる。

 これが古い物で在れば一大事。希少なカラー画像や塗料に関する資料をひもといていくのだが、半ば推理ゲームの世界だ。じゃぁ、現物が残っていれば良いか・・・といえば、そんな事もなく、経年劣化による変色・退色を免れる事は難しい。
 じゃぁ、現用の物で在れば、現物に当たれるし、変色・退色していても当時(現在)の状況といえるので、考証的には無問題!・・・かというと、これまたそうではない。
 以下の画像を参照して欲しい。
色に迷う_a0193363_1310957.jpg
 これらは'60~'80年代のソ連陸軍の常勤・野外服。
 カメラが悪いので色合いが不鮮明だが、微妙に色調が違うのが分かるだろうか?
 でも、ここに写っている色は、全て「保護色」と一括りで呼ばれている色(古い物は「カーキ色」の名称が使われるが)。

色に迷う_a0193363_1315786.jpg
 ここに写っているのは'50~'60年代の兵士用シャツ。手前の一着はプラスティックボタン、奥の二着は金属ボタンという違いはあるが、生地は同じ物。
 生地の色も、ボタンの色も、糸の色も、同じ名前の色であるはずだが、製産時期や製産工場、ロットなどに拠って、更には着用による退色のせいで(奥二着は中古)、これだけ微妙に差異が生じるのである。
 戦車だろうが、軍服だろうが、同じ名前の色の塗料・染料だからって、同じ色とは限らない。 

 故に、資料が豊富で、新しい時代の物であっても、模型で再現する時代や状況に合わせて、やはり色彩の考証からは逃れる事が出来ない。
 資料が無い時代に比べれば、遙かに楽ではあるが。
 
 
色に迷う_a0193363_13241278.jpg
 様々な色合いを再現する以上、やりたくないが混色せざるを得ない。
 色々と塗料を混ぜながら探っていくのだが、そのレシピを作っておかないと大変な事になる。

色に迷う_a0193363_13294023.jpg
 資料と自作のカラーチャートを比較しながら、再現したい色を探していく。
 これが大変・・・。

 そうはいっても、下地処理と同じで、ここでしっかり色合いを掴んでおかないと、後で苦労する事になる。


 ・・・でも、ここでリアルな色を見つけたとしても、リアルに見える色とは違うんだなぁ・・・。
 現物と同じ色を、縮尺模型に塗ってもリアルには見えない事が多いし、再現する現場の空気感も模型では表現しなければならない。
 暗色や明色などを塗り重ねているうちに変化する色調も考慮しなければならないし、最後は現場会わせなのが現実。

 結局の所、最初から最後まで色に迷い続けるのだ・・・色即是空・・・それ故に。
Commented by 樹梨 at 2012-02-04 22:25 x
すんげ〜お宝ストック!噂には聞いていましたが、これほどとは。(って、この写真はたぶんほんの一部なんでしょうけど)
木蘭さんの作品完成度の高さは、このこだわりペイントからきているのですね〜。納得しました。
カラーチャートは大事だよね。ウンウン。
ちらっと見えるシタデルカラーボトルがなぜか妙に嬉しい私です。
Commented by 赤いお母さん at 2012-02-05 11:15 x
いやぁ・・・私のコレクションなんて量的には大した事御座いません。
質的には・・・私に取っては宝の山なのですが、市場的には価値は無いんだろうなぁ・・・将来的に、遺族は始末に困るかも。

>シタデルカラーボトル

歴代で持っていたりします。
古いタッパー式のボトルは使いにくいけど、保存性は良いんですよね。
今は無き色(名前は残っているけど)で手放せないカラーがあって、これを使い切ったらどうしよう・・・。
by redsoldiers | 2012-02-04 14:01 | 道具/技法 | Comments(2)

歴史軍装研究と模型製作の狭間に


by redsoldiers
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